Column / 大神の代表者コラム

中小企業にお金が残らない理由

中小企業にお金が残らない理由

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会社にお金を残す方法として、一番に何が思い浮かびますか?

 

 おそらく9割以上の方が「売上を増やすこと」と答えるのではないでしょうか。

 

 もちろん、それは間違いではないですが、やり方を間違えると労力の割にお金が溜まることはありません。場合によっては、売上が増えるにつれて資金繰りが苦しくなる可能性さえあります。

 

 なぜ、売上UPに励んでもお金が増えないのか。今回のコラムでは、”中小企業あるある”として売上を増やしても現金が増えない理由と、その解決方法を紹介します。

 

 

売上が増えてもお金が残らない理由


 

  そもそも、会社はお金が入らないことには成立しないため、売上が不可欠であることは言うまでもないでしょう。

 

 しかし、不思議なことに、売上が上がっても現金が増えない、むしろ減ってしまう現象が起きるのが経営の難しいところ。ではなぜ、こういった事が起きるのでしょうか。

 

 

 その理屈をご理解いただくために、まずは下の図をご覧ください。

 

 私は常々、マイナスから0にする戦略と、0からプラスにする戦略は異なる!という話をします。つまり、頑張って売上を創る行為に励んでもプラスにするのは難しいという考え方です。

 

 下記の図では、蛇口から出る水を『売上』に、バケツに溜まった水を『現金』に例えています。

 

 まず、最初の図は中小企業が陥りがちな状態です。

 

税理士 福岡

 

 頑張って水を注いでも、バケツに穴が開いているために溜まる気配がありません。一向に溜まらないバケツの水… 水量を増やすために多くの中小企業が陥る状態が、次の図です。

 

Tax accouting

 

 そうです。蛇口を目一杯に回すのです。バケツをイメージすれば、誰もこのような方法を選ぶことはありませんが、残念ながら実際の経営では上記の図のように分かり易く『見える化』されていないために、気づくことができないのです。

 

 そして、蛇口の水量ばかりに注力する一番のリスクは、水量が急激に減少する可能性に対処できていないことにあります。

 

 売上を増やす戦略に成功の保証はありません。今回のコロナ禍のように、突然、売上が0になるリスクさえあります。つまり、バケツに開いた穴を塞ぐ努力をせずに、売上UPばかりに励んでいると効率が悪いばかりか、苦労して注いだ水を残すことさえできないのです

 

 

バケツの穴を防ぐ方法


 

  どうすればバケツの水量を増やすことが出来るのか。答えは簡単で、バケツの穴を塞ぎ、蛇口の水勢を増すことです。

 

tax accouting

 

 図で例えると解決方法は簡単に思いつきます。これを現実の経営では、どのような対応が必要でしょうか。

 「経費を削減する!」と考えた方が多いはずです。もちろん、それも正解の一つですが、闇雲に経費を削減した場合のリスクも考えなければなりません。

 経費圧縮の効果は一時的に現れ、手元にお金が残るようになります。しかし、未来の売上の種となる「広告宣伝費」や「商品・サービス開発費」まで削減すれば、近い将来に売上が下がります。人件費にメスを入れれば、待遇に不満を持つ社員は会社を去っていく原因に繋がります。そのような状態は採用難の現代で致命傷といわざるを得ません。

 

 

 では、バケツの穴を塞ぎつつ、蛇口からの水量を増やす良策は何なのか?方法論は色々とありますが、まずは会社のお金の流れを「見える化」することから始める必要があります。

 

 これは会計・財務の領域であり、高額な経営コンサルタントをイメージするかもしれません。が、実は中小企業が無理のない金額で、会社の財務を強化する方法は存在します。

 

 それが税理士の活用です。税理士といっても、一般的な税理士ではありません。なぜなら一般的な税理士作成する帳簿は、税金の計算・申告を目的にしているため、単なる数字の羅列なのです。そのためいくら帳簿を見ても、本当に欲しい情報は手に入らず、ハッキリ言って時間が勿体ないだけです。

 

 そこで頼れる税理士に『管理会計』という会社の利益・現金の流れが分かるように一工夫してもらいます。それにプラスして、同業他社で儲けの大きいところと自社を比較し、利益が残らない、お金が増えない原因を分析して解決策を講じる。そうすれば間違いなく、今より利益も現金も増えます(理屈として増えない方が難しい)。

 

 

 しかし、難しいのは『管理会計』の質を担保できる税理士が少ないことです。『管理会計』には決まったルールは存在せず、たとえ同じ業種であったとしても同じものが出来る上がるものではないため、関わる税理士のスキルやセンスによって成果物に大きな差が生まれます

 

 一般的な税理士は税金の計算・申告を仕事と捉えているため、こういった会計・財務のサポートに対応できないと考えた方が良いでしょう。おそらく、『管理会計』の話をすればカタチとして対応はしてくれるかもしれませんが、質には大きな不安が残ります。

 

 

管理会計ができないと生き残れない?


 

  高度経済成長期のように人口に比例して、経済が右肩上がりに増え続ける時代なら勢いで売上・利益を増やすことは難しくありませんでした。しかし、人口減少の一途を辿る21世紀では、勢い任せの経営では勝つのは至難の業です。

 

 マーケティングに注力し、限られた市場内でシェアを広げる戦略が重要であり、それに加えて稼いだ売上を効率よく利益に、現金にする戦略が同じレベルで求められるのです。実際、私がサポートしたクライアントで前年売上比140%を達成した理屈の一つもコレでした。

 

 会社のお金の流れを見える化し、原価・経費・現金をうまくコントロールすること。その積み重ねが業績を改善に繋がり、急激な売上減に陥ってもグラつかない筋肉質な会社へと変化させるのです。

 

 そのサポートは、高額な経営コンサルタントに依頼するまでもありません。中小企業にとって、最も身近な顧問税理士をうまく活用できるのです。

 

 

税理士紹介 福岡

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