儲かりたいなら売上至上主義をやめなさい
中小企業が最もハマりやすい罠
売上至上主義が会社を苦しめる
売上よりも増やすべきこととは?
利益の創出には、”入り”となる売上が不可欠。必要最低限の人員で切り盛りする中小企業にとって、売上増がもっともわかりやすく、人員配置も”そこ”に集中しがちです。
しかし、実は儲かるための企業づくりにおいて、この売上至上主義というのは必ずしも正しい対応ではないのです。
売上がいくらあっても現金がなければ決して儲かっている会社とは呼べません。語弊のある表現ですが、売上UPよりも、利益・現金を稼ぐことが重要なのです。
数字を戦略的に活用する
効率よく稼げる状態をつくる
結論からいえば、今までと同じ売上で利益・現金が多く残せる状態を創る!ということです。
一例として、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
①売上 10,000万円
②原価 7,000万円(原価率70%)
③固定費 2,900万円
④営業利益 100万円
単純に売上を2%UPさせると
①売上 10,200万円
②原価 7,140万円
③固定費 2,900万円
④営業利益 160万円(160%増)
200万円の売上を新規につくって60万円の利益増に成功。しかし、この2%を原価率の改善に当てはめて考えると
①売上 10,000万円
②原価 6,800万円(原価率68%)
③固定費 2,900万円
④営業利益 300万円(300%増)
200万円の利益増に。つまり、どこで2%がんばるのか?によって、得られる結果は大きく異なることが分かります。
中小企業も生産性の向上が不可欠!!
限られた時間、人員で利益の最大化を図る
上記のシミュレーションをご覧になって、売上至上主義の効率が悪い事をご理解いただけたのではないでしょうか?
しかし、売上2%UPの現実は、広告宣伝費の増加や営業マンへのインセンティブなどの費用が増え、上記のシミュレーションより利益が少なくなります。
そもそも「 経営状態が悪くなってきたから、売上を大幅に増やそう 」という発想は危険です。仕入れが必要な業種なら、先に現金の流出が伴います。仕入れたものが全て言い値で売れて即入金ならイイいですが、現実は…。となると、売上至上主義が結果的に、資金繰りを痛め、会社の未来を閉ざしてしまう可能性さえ考えられます。
もちろん、 原価率の改善は簡単ではありません。しかし、原価率の改善効果は持続性があり、同じ労力で売上を増やしても、今まで以上の利益が手元に残るのです。そうすれば社員に過度な負担を強いらずに業績を上げられ、待遇の改善にも繋げられる。 その強力なメリットを考えれば手を打たない選択肢はありません。
…と、なぜ、この話を税理士紹介会社がコラムに書くのか? もちろん、税理士がこの分野に大きく関われるからです。
税理士がつくる数字で経営判断できない・してはいけない理由
税理士が数字を集計する目的とは?
税理士が当たり前のように帳簿を作成していますが、その理由を考えたことはありますか? ズバリ、それは『 税金の計算 』です。
「 自分は数字が苦手だから 」「 税理士の話は難しいから、会っても意味がない 」と考える経営者は少なくありませんが、実は数字が苦手・分からないのは経営者の責任ではありません。 一般的な税理士が持ってくる数字は単なる集計で、その目的は税金の計算である以上、経営者が理解できないのは当然なのです。
ですから、税理士には、集計の目的を税金から、経営者のために変更してもらう必要です。これを『 管理会計 』といい、『 経営者が管理できる会計 』と定義してもらって構いません。そうすることで自社の利益構造が見え、儲かるための改善ポイントが分かるようになって初めて「 何をすべきか? 」が明確になるのです。
何も税理士に高額な報酬を支払うことを勧める話ではありません。ただ、税理士に当たり前のように入力してもらっている帳簿の運用方法を変えてもらうだけです。
さらに、財務の知識やノウハウを持つ税理士を味方にすれば自社の戦力に出来るのですから、活用しない手はありません。