Column / 大神の代表者コラム

税務調査と税理士

 

税務調査のリスク

 

Tax Accounting

 

税務調査に対するイメージ


 

税務調査は、開業して4年程度で入るケースもあれば、20年以上一度も入られた事のないケースもあるため、そのイメージには個人差があるようです。

 

定期的に入る会社は、税務調査に慎重になり”すぎている”。その一方、一度も税務調査に入られたことのない会社は、大胆と言わないまでも無防備になる傾向にあります。

 

もちろん税務調査は100%入らないとは断言できない以上、無防備はキケンです。しかしながら、税務調査を恐れて小さくまとまって馬鹿正直に税金を支払うのは報われないと私は考えます。

 

 

利益が小さい・赤字法人に税務調査は入らない?


 

なぜ、4年経って直ぐに税調査が入る会社と、何年も税務調査が入らない会社が混在しているのか?

 

もちろん、調査官の数にも限りがあるため、全ての会社を調査するのは現実的ではありません。そのため、多くの方のご想像通り、税金を少しでも多く”とれる”会社が選ばれるのは当然です。

 

しかし、そのような”想像”があることから、利益が小さい・赤字の会社には税務調査が入らないという噂がありますが、これは大きな誤解です。

 

税務調査に入る会社は、タレコミや実績なども考慮されますが、KSKシステム(国税総合管理システム)を用いて前年対比で”異常値”を出した会社が選んでいます。つまり、そこに利益の多寡や赤字の有無は関係がないのです。

 

 

実際、税務調査は赤字法人にも行われています。

 

 

平成20年度から更新されていないため古い情報にはなりますが、16,000件前後の赤字法人に調査を行い、平均13%の2,000件強の会社が税務調査後に黒字に転換しています。

 

つまり赤字を理由に税務調査を回避できる確証はない上に、(故意に)赤字申告したことが原因で税務調査の対象になる恐れが十分に考えられるのです。

 

 

税務調査の影響


税務調査で一番気になるのは「金額」でしょう。

 

税務調査には新人教育の一環で行われる甘いも一部あるようですが、基本的には「税金を多く徴収できる会社」という前提で調査は行われるため、相応の金額を否認する可能性が高いと考えた方が賢明です。

 

では、具体的に税務調査に関する情報を数字で見てます。

 

 

下記は、国税庁の『令和元事務年度法人税等の調査事績の概要』に掲載された情報です。

 

Tax Accounting

 

税務調査を実施した企業の約74%に非違があり、約21%が不正判定を受けています。

 

 

次に、不正発見割合の高い業種も発表されていました。

Tax Accounting

上位5つのうち4つは いわゆる『現金商売』です。

 

 

そして、最も関心のある不正1件あたりの金額は…

 

Tax Accounting

 

1位の『その他の飲食料品小売り』で5,800万円という脅威の数字ですが、まずは一旦、冷静に考えてみましょう。

※5,800万円は追徴課税の金額ではありませんので、誤解なく

 

 

この金額は、大企業も含まれている点と、所得金額は3年、最悪のケースでも7年を合算している点を考慮する必要があります。

 

しかし、この不正の境界線には注意が必要です。不正は強い言葉なので、事業者側が悪意をもって行った印象を持つかもしれません。

 

ですが、不正の中には”単なるミス”と思われるものでも調査官のさじ加減で判定され、その判定を顧問税理士が素直に受け入れるケースがあるため、意外と身近な問題なのです。

 

不正と判断された場合は、重加算税といって実質的な脱税となり、そのペナルティは非常に大きくなります。

 

 

以上を勘案すれば、税務調査で非違・不正と判断されると、最低でも3年、最大で7年も遡って再計算されるため、ペナルティを計算するための分母は簡単に何百万何千万にも膨れ上がります。

 

そして、その分母に改めて本来課税されるはずだった税金を計算し、さらにペナルティを計算すれば何百万、何千万円に上ることは想像に難しくありません。そんな状況に陥れば資金繰りを窮するのは必至です。

 

 

だからこそ顧問税理士を上手く活用する!という話になるのですが、実はここにも多くの理想の現実が存在します。

 

その内容はまた別のコラムで紹介します。