Column / 大神の代表者コラム

節税しながら最大800万円貯金する方法

会社を強くする節税

Tax Accounting

 

節税しながら最大800万円のお金を貯める方法


 

 非常に初歩的な話ですが、税理士から提案を受けていないケースが見受けられますので、私から提案いたします。

 

 当記事は、以下に該当する方にとっては非常に有効です。

 

・生命保険の節税目的に保険に加入したいが、毎年の保険料支払いが不安

・利益が大きくない(又は赤字)で節税は関係ないと考えている

・できるだけ借入はしたくない

・年商1億円以下

 

 

 それでは、本題に入ります。

 

 

 『 セーフティ共済 』をご存知でしょうか。

 

 これは『 中小企業倒産防止共済 』の愛称で、「 取引先が倒産した場合に、無担保・無保証人で、掛け金の10倍まで借入ができる 」ものです。

 

 サービスの性質上、一般消費者を相手にする飲食店などのビジネスには無関係と思われがちですが、そんなことはありません。なぜなら、今回紹介するセーフティ共済のもう一つの側面に理由があるからです。

 

 

長期的な支払いに伴うリスク


 

 本題に入る前に大前提から説明する必要があります。

 

 セーフティ共済の掛金は全額損金(※)となるため、節税効果が発生します。その上、掛金は800万円に到達するまで積み立てられ、解約時には掛金の100%が返ってくるためムダもありません

 ※利益から支払った金額の100%を差し引ける

 

 解約する時期によっては下記のとおり元本割れリスクはありますが…

 

・12か月未満…0%

・12か月以上…80%

・40か月以上…100%

 

 掛金は月額5,000円刻みで、最大20万円まで自由に設定ができる上に、契約途中であっても柔軟に変更できる。つまり、資金繰りに苦しくなっても掛金を下げれば無理なく支払い続けられるため、元本割れのリスクを軽減できます。

 

 

セーフティ共済に否定的な税理士


 

 上記のとおり、加入条件を満たせば飲食店などの業種でもセーフティ共済のメリットを受けられるのですが、実は税理士の間では賛否両論(※)です。

 ※個人的に公認会計士系の税理士は否定的な意見を持つ印象

 

 その論点となるのが解約時に戻ってくるお金の取り扱いです。

 

 生命保険の解約返戻金などと同じ理屈ですが、掛金で損金計上(利益減少)しても、解約時には雑所得(利益増加)になるため、利益の繰り延べに過ぎない!というものです。

 

 

 もう少し分かり易く説明します。

 

 掛金を総額800万円支払うと、通算で法人税240万円を節約したことになります。

 ※法人税を30%と仮定

 

 しかし、解約時に積み立てた800万円が雑所得として丸々利益にプラスされると、そこに法人税が発生します。つまり、法人税240万円を後で払うか先に払うかの違いに過ぎない!という理屈です。

 

 

 確かに上記の理屈は会計学上、間違いはありません。ですが、リアルな経営では通用するのか?といえば、疑問符が浮かびます。

 

 

セーフティ共済が自社の倒産を回避させる


 

 会社を経営する以上、売上低下リスクは常に隣り合わせです。十分な現金を持っていれば怖くありませんが、現実はそうはいきません。

 

 そこで役立つのが、セーフティ共済で積み立てた現金です。
 

 先に触れたようにセーフティ共済では、最大800万円まで積み立てられます。資金繰りが苦しくなった時に、積立てた800万円がスムーズに入ってきたら、どのくらいのインパクトがあるのでしょうか?

 

 中小企業の50%以上が年商1億円未満である事実を踏まえれば、大半の企業にとって800万円は月商(月の売上) 1か月分に相当します。厳密には”粗利益”と同質なため、2,3か月分の月商が現金として入ってくるのと同じ効果があるため、非常に大きなインパクトがあるといえます。

 

 一般的に売上・利益が低下し、資金繰りが苦しくなると金融機関からの融資は難しくなるなど、資金調達の選択肢が狭まります。資金調達の苦労なく、まとまった現金が入ってこれば、低下した売上の回復策を講じ、行動する猶予を得られ再起を図ることが可能ではないでしょうか。

 

 

積立金の使い道


 

 お気づきだと思いますが、雑所得である800万円は赤字と相殺される場合は法人税が発生しない(※)ため、利益管理ができていれば納税負担の心配も必要ありません

※均等割りなどを除く

 

 しかし、「 解約のタイミングで都合よく赤字出なかった場合、納税額が増えるじゃないか!?」という心配の声も出そうですが、ご安心ください。積み立てが上限の800万円に到達しても解約する必要はなく、そのまま預けられるため、都合のよいタイミングで解約して構いません

 

 特に資金繰りの心配がなくても、勇気のいる投資や、退職金の支払い、高額な設備投資(※)など、大金が必要になった場合に解約しても問題がないのです。

 ※高額な設備投資は減価償却があるため計算が必要

 

 

節税の優先順位


 

 これまでに案内した通り、『 セーフティ共済 』は保障面は当然、節税や将来の資金繰り対策にも使える非常に使い勝手の良い手法だといえます。

 

 なお、『 節税 』は納税負担が減る点において、経営者にとっては魅力的なワードに見えるものです。しかし、節税も多種多様で、手法によっては会社に損失を与えるケースもあるため、注意が必要となります。

 

 その点、『セーフティ共済』は、全額損金によって節税しながら帳簿の外に現金を貯め、掛金も柔軟に変更できることからリスクを抑えられる事からも、節税を考える際には優先順位を上げるだけの価値があります。

 

 

 とはいえ、業種や状況によっては合わない場合も考えられます。が、取引先の倒産リスクが懸念される場合は、節税ではなく、本来の目的としてご検討ください。

 

 

 

 tax accouting

 

 

税理士紹介 福岡

 Tax Accounting