Column / 大神の代表者コラム

顧問料に安さを求める前に

顧問税理士の節約以上に失う大金

Tax Accoutning

 

税理士に価値を見出せなかった社長の話


 売上よりも大切なこと

 

 年商一億円超の会社を経営する若手社長Aさんとお会いした時の話です。

 

 

 当時の同社は、社員12名前後で推移し、内勤スタッフは2名で、残り全員は営業マンという構成でした。退職率は高いものの、売れ筋の商品のおかげで、人を採用できれば売上も利益も順調に確保できていたのです。

 

 そして、当時の顧問税理士は、起業時に相見積もりをとり、一番安かった事務所に依頼していました。しかし、何も提案してこない事に不満があり、当社にご相談をくださったのです。

 

 私は、会社の現状と方針を伺った上で、最適な税理士像を提案しましたが、顧問料が倍になるため白紙となりました。

 ※年間約30万円⇒約60万円

 

 

 しかし、それから一年後。社長から改めて税理士の紹介依頼をいただいたのです。

 

 

 久しぶりにお会いした社長は当時のような覇気がなく、話を伺うと…

 

〇 決算月の中旬になって利益が例年の3倍以上になると、税理士から連絡が入った

〇 税理士に節税の相談をしても対応できないと回答

〇 社長独断で親族の会社にコンサル費用として数百万円を振り込む

〇 税務調査が入り、500万円以上の追徴課税が発生

〇 税理士は、税務調査官のいいなり

〇 売れ筋商品の勢いが落ち、優秀な営業マンが相次ぎ退職   など

 

 色々と落ち込んでいる時に私のことを思い出し、ご連絡をくださったそうです。

 

 

税理士は売上UPに貢献できないが…


売上よりも現金、そして…

 
 私は新しい税理士の選定に当たり、改めてA社長から話を伺いました。そこで私が提案した内容から3つを紹介します。

 

 

 一つ目は、自計化の導入

 

 同社は、会計ソフトの入力を税理士事務所に丸投げしていました。これが決算月の中旬に大きな利益が発覚した要因の一つです。。

 

 一般的に、税理士事務所に会計ソフトの入力を依頼すると平均2か月かかります。そのため税理士が報告する数字は、2か月以上も前の古いもので、そこに問題が見つかれば、現時点ではより悪化していると考えるべきでしょう。

 

 自計化の導入には、ヒトの問題がありました。しかし、私が内勤のスタッフさんと面談したことで、前向きな協力を得られたのです。これで同社は新規の人材採用も給料の追加もなく、経理機能を取り入れる事ができました。ちなみに、現在の会計ソフトは安く、簿記知識はいりませんので、担当者にとっても負担は大きくありません。

 

 

 二つ目は、予算管理の徹底

 

 同社には機能していない組織図しかなく、性質が異なる商材3つ全てをまとめて帳簿付けがされていました。

 

 そこで私は、組織図を機能的に再構築し、3つの商材ごとに売上と費用を管理する仕組みと、併せて予算と実績管理も提案しました。

 

 この事について、後にA社長は「数字の見方がはじめて分かった」と仰っています。また、予算を設けたことで、今まで無計画に使っていた支出は見直すとともに、事業成長に必要なことには安心してお金を使えると喜んでおられました。

 

 

 三つめは、税金の有効活用

 

 同社は売れ筋商品の勢いが弱まり、優秀な営業マンが退職するなど、業績の悪化は避けられませんでした。しかし、残り2つの商材があったために、屋台骨が揺らぐことはなかったのです。

 

 当面は以前のような売上は期待できないものの、新商品・サービスの開発などに事業投資を行う必要がありました。しかし、以前より使えるお金に余裕がないため、事業投資に勇気が求められます。しかし、事業投資を怠れば、ジリ貧は避けられません。

 

 そこで新しい税理士には、資金繰りの改善に動いてもらいました。着手した一例は「お金を使わない節税の徹底」と先に紹介した予算と実績の管理、それに紐づく「資金繰り表の導入」です。これらにより限られたお金の中で、未来の売上に繋がる投資を行えるようになったのです。

 

 一度ヒット商品に恵まれても、好調期が続く保証はありません。ですから、売上が落ちても簡単に会社がつぶれない体制を整える事は不可欠であり、一日でも早い取り組みが未来を左右します。 

 

 

さいごに


中小企業に数字を取り入れる

 

 大企業と異なり、少人数で営む中小企業の多くは、売上創出に偏った人員構成になるのは仕方ありません。しかし、経営には、ヒト・モノ・カネといった経営資源に付随する問題が突然、降りかかることは珍しくないため、売上に偏り過ぎた経営はキケンです。

 

 とはいえ、売上に直結しない人員の雇用は負担が大きいのも事実。そこで検討したいのが、外部の優秀な人材を自社の戦力にすることです。

 

 それまでのA社長は、税理士を単なる税金の専門家と考え、安く済ませることを重視していました。しかし、今回のトラブルで、税理士に対する考え方を変え、社外の優秀な人材として活用することを選択しています。

 

 外部の人材なら、労務リスクもなく、パートさん程度の価格で自社の戦力にできます。人手不足の時代の今、最も合理的な選択肢ではないでしょうか?

 

 

 前任の税理士と比べ、新しい税理士の報酬は倍になっています。しかし、以前の顧問料が安すぎたというのが私の率直な感想であり、新しい税理士は相場程度です。結果論とはいえ、A社長は節約した顧問料の10倍以上の税金を支払うハメになった事は非常に残念であり、当時の私の力不足を悔いります。 

 

 専門性の高い税理士を見比べるのは難しく、どうしても金額で比べてしまいがちです。が、税理士を選びを間違えると、節約した金額以上の大金を失う可能性が高いため、十分に注意してください。

 

 

Tax Accounting

Tax Accounting  coordinator

 

税理士紹介 福岡

Tax Accounting