税理士と顧問契約を結ぶタイミングは?
税理士と顧問契約を結ぶ最適なタイミングとは?
創業間もない頃が一番むずかしいタイミング
経営者の本音
これから起業を行う人、起業して間もない人にとって、顧問税理士を持つタイミングは非常に難しいところ。売上の見通しが立っていない段階なら、少しでも費用を節約したいと考えるのは当然です。 私も起業した身として、その気持ちは痛いほどわかります。
とはいえ、税金はとても難しい分野のため、早く頼めるのなら頼みたい!という本音もあるのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、
・創業前後
・一人で経営している
・年商が2000万円前後
このステージにいる人たちを前提に書いていこうと思います。なお、年商が3000万円を越えているのであれば、顧問税理士を持たないこと自体がリスクなため、直ぐにでも顧問税理士を探すことを強くお勧めします。
顧問税理士は儲かってからで十分?
先輩経営者のアドバイス
既に事業を成長・安定させている先輩経営者は、「 顧問税理士は儲かってからで遅くない。今は売上づくりに専念しろ 」とアドバイスをすると思いますが、私の考えは「 早ければ早いに越したことはない 」であり、その一番の理由は『 生産性の向上 』にあります。
小さくても穴の開いたバケツに水をためるのが難しいように、売上を増やしてもお金が必要以上に出ていくのでは効率が悪い。つまり、攻めでだけではなく、守りにも力を入れる必要があるのです。が、守りのために経営者が時間をかけるの合理的とはいえないでしょう。
そこで会社の生命線である『 おカネ 』にダイレクトに関わる税理士に力を、単なる税金の専門家ではなく、社外の優秀な人財として自社の戦力にするのです。その結果、税理士にお金の流れを変えてもらう”だけ”で、同じ売上でも手元に残る現金は増えるようになります。
その他にも、役員報酬や決算月の決め方、銀行からの借入、税理士が持つ経営に関する知恵と経験も手に入れば、未来に大きな差を生みます。
税理士の顧問料を投資と考える
税理士に売上UPと同等の仕事をしてしてもらう
とはいえ、資金が限られる状況では税理士の顧問料を”消費”と考え、売上を増やすホームページや広告などに”投資”したいと考えるかもしれません。しかし、私の提案は、売上UPと同等の効果を税理士に生んでもらうための”投資”です。
例えば『 節税 』を、利益が大きく出ている企業の話であって、創業間もない・赤字の企業では無関係に考える経営者は多いですが、それは大きな誤解です。税法・税金はコストですが、扱い方次第で利益にもなります。
一例でとして、あなたが毎日、外出する仕事だとしたら、それだけで年間30万円くらい現金を増やすこが出来ます。手元に30万円の現金を残すためには、税金なども考えると60万円以上の売上を新たに作ること必要があるのです。そして、その効果は何の労力もなしに持続して得られるのですから、税理士が与える価値というのは非常に大きいといえます。
顧問料の負担を軽減する方法
それでも起業当初は資金繰りに不安があるため、税理士の顧問料負担は小さくありません。しかし、実は皆さんが思っているよりは、税理士費用は安く抑えられます。
売上規模が小さく、経営も非常にシンプルなら税理士との顧問料交渉は簡単。さらに自分で会計ソフトを入力すれば、さらに年間15万円程度は簡単に削減できます。
「 創業間もないうちは一分一秒でも売上づくりに専念しろ! 」なんて意見もありますが、売上規模が小さいうちは会計ソフトの入力時間なんてたかが知れています。現在の会計ソフトに簿記知識は必要がなく、毎日10分ほどコツコツと取り組めば、1~2か月もあれば慣れます。
会計ソフトを自分で入力することは、顧問料の節約だけでなく、お金の流れを身体で覚えられるメリットもあります。本で学ぶよりも簡単で効率がよく、この経験は将来、経営者としてのスキルを飛躍的に高めてくれるでしょう。
逆説:顧問税理士を持たないリスクとデメリット
顧問税理士を持たないメリットは目先の費用の節約だけ
弊社にお問い合わせいただくお客様で、初めての税理士を探す方は全体の一割程度、そのうち半分以上は起業されて3年程度経過しています。それまでお一人で努力して事業を成長させてきたわけですから、私としても期待に応えたい!と熱が入る瞬間でもあります。
しかし、正直な感想として「 もっと早く相談してほしかった 」と思うことがほとんどです。
私は要望がない限り、お客様の決算書などを拝見することはありません。ただ、話を伺う中で…
・ お金の使い方に計画性がなく、資金繰りに問題がある
・ お金の管理ができていなく、不必要に借金を増やしている
・ 設備投資をしたいが、全く準備できていない
・ 創業時の借入のチャンスを活かせていなかった
・ 節税を最優先した結果、現金に余裕がない
など、もっと早く手を打っていれば今よりも良い環境を準備できていたと思うのです。
熱量の高い経営者は一人で悩み、考え。特にお金の悩みは誰にも相談できない傾向にあります。しかし、経営者は本業のプロであって、経営のプロではありません。一人で悩み、考える時間は非常にもったいなく、リスクも高いでしょう。 ですから、積極的に優秀な人財の力を借りるのは最良の経営判断ではないでしょうか?
おわりに
選ぶ税理士を間違えないこと
これまでに税理士と顧問契約を早期に結ぶメリットを説明してきました。しかし、私が提案する顧問税理士の活用法は、どの税理士でも対応してくれるものではありません。
税理士といっても、税金の計算を主とする従来の税理士、税金+αのサービスを提供し利益をもたらす税理士がいたりと、一括りにできる職業ではないのです。ですから、税理士を厳選する必要があります。
しかし、福岡には1,000を超える税理士事務所がある上に、専門性の高い税理士を比べることは非常に困難です。もし、税理士選びを間違えてしまえば、顧問料がムダになるだけではなく、様々なチャンスを無にしてしまいます。
思っている以上に税理士が与える影響は大きく、選ぶ税理士を間違えると会社の未来を左右させるといっても過言ではありません。